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2017年2月11日土曜日

サスティナブル(維持可能)とフィデューシャリーデューティー(受益者のために働く者の義務)

【1】今回の出来事

eMAXISシリーズを持つ三菱UFJ国際投信からプレスリリースがあり、国内・先進国の株式・債券インデックスファンドの4本が、2分の1から3分の1に信託報酬を下げる模様です。
eMAXISシリーズと、eMAXISslimの4ファンドは、マザーファンドは同じ模様です。

ニッセイを皮切りに大きく信託報酬を下げたインデックスファンドが出揃ってきました。

先日の「投信ブロガーが選ぶファンド・オブ・ザ・イヤー2016」でも新興勢力である低価格インデックス投資信託勢が、上位に食い込みまくり、旋風を起こしたのは記憶にあたらしいところです。

ワタシがメインで運用する世界経済インデックスファンドのマザーファンドは、三井住友トラストアセットマネジメント社が運用するSMTインデックスシリーズと同じです。

SMTシリーズは、まだ競争への参加意思は見られず、昨今の超低コスト化競争からは蚊帳の外に置かれてしまったようです。

【2】今回の背景として考えられること

金融庁は、「平成26事務年度金融モニタリング基本方針(監督・検査基本方針)」(方針書PDFを読み込む必要はありません。こんなのがあるのね〜とパラパラめくる程度でOK)の中で、

「フィデューシャリー・デューティー」
(これから運用説明会とかセミナーで出てくる用語かも知れません)

なる、
  • 「フィデューシャリー」:運用会社
  • 「デューティー」:義務
ということで、運用会社の義務というものを法律ではなく、指針・方針として示しました。

その方針の中では、カンタンに言い換えると、

「運用会社には、ワタシたちのような投資家(受益者と呼ぶ)のために忠実に働く義務(忠実義務)があり、不当な利益を得ていないこと」

ということが書いてあります。

運用会社が投資家に対して忠実義務を負うということは、運用会社の裁量で投資家の利益に与える影響が大きいという意味で、医師に治療を任せる患者という構図の医師が患者に負う忠実義務という構図と同じくらい重たいものだと、他のブロガーに教わりました。

昨今のインデックスファンドシリーズを各社が超低価格で提供し始めたのは、この「忠実義務」によって不当な利益を取ることなく極限まで削った価格(投信の場合は信託報酬)で提供するという解釈が、この流れを歓迎する人たちの見方です。

ワタシは、全面的に歓迎する気になれません。

【3】でも株式会社の責務って

ワタシがメインで利用している世界経済インデックスファンドを運用する三井住友トラストアセットマネジメント社が今回の価格競争で現時点で蚊帳の外ということもありますが、SMTシリーズも、世界経済インデックスファンドも、過去、信託報酬の値下げを行った経緯があります。

三井住友トラストアセットマネジメント社も、「少しでもワタシたちのような投資家(受益者と呼ぶ)」に少しでも安く投資信託を提供しようという姿勢であることは間違いないと思います。

その三井住友トラストアセットマネジメント社が今回、動きを見せないということは、
長年のライバル会社である三菱UFJ国際投信がずっと掲げてきた、

「サスティナブル(維持可能)なビジネスモデル」

という株式会社として利益を確保し、株主利益を担保する考え方にウエイトが置かれているのかなと。

いくら忠実であっても、利益を出して運用担当者の報酬や設備などにかかる費用が回収されなければ収縮していってやがて消滅してしまいます。

今までの三菱UFJ国際投信は、株式会社として株主利益を確保し、またそれが継続維持できることが、ワタシたち投資家への忠実だったという理屈だったのかも知れません。

【4】ということで今回の論点・問題点

今回論点・問題点としては、当の三菱UFJ国際投信が、
  • 株主利益確保のための信託報酬維持 ⇒ 「フィデューシャリー」:運用会社の「デューティー」:義務
  • 投資家利益確保のための無期限のインデックスファンドの継続 ⇒ 株式会社としてのサスティナブル(維持可能)
が、価格破壊的な超格安な値下げ競争に参戦したということです。

これが、目先の信託報酬下げによって投資家への忠実義務を果たしたことによって、長期投資家の期待する無期限インデックスファンドの継続の可能性が大きく下がり、途中償還(投信を取りやめること。投資家にとってその時の時価で全額強制解約になる)になりはしないか、という心配です。

何せ、現行の三菱UFJ国際投信社は、三井住友トラストアセットマネジメント社と競って、お互い同じような信託報酬だった。

それがニッセイをはじめ、格安インデックスファンドの新規参入が発生し、市場の将来性の大きい脅威となった。
  1. 今までの価格が適正だったのか。適正だったら、今回の無茶な値下げで継続性が損なわれないか。(株主利益、投資家利益の毀損)
  2. 今までの価格が不適正だったのか。不適正だったら、三井住友トラストアセットマネジメント社も賛同しなければ忠実義務に反する。
  3. 新たな潮流が適正な場合、ネット証券を含む販売会社も賛同しなければ忠実義務に反する
【5】株式会社の忠実義務履行への致命傷
ワタシは、上記黄色で色をつけた部分の医療行為の患者に対する忠実義務は、医師は完全治癒という結果責任が求められ、手術失敗などは訴訟に達します。

資産運用は、結果責任は取りません。あくまで投資家の責任であって、投資家は受益者であり、受損者でもあるわけです。

そこが運用会社と医者は違いますし、また医療法人で特殊な存在として扱われてる医者に対して営利企業と全く同じ資本主義の一丁目一番地である株式会社という形式で株主総会という絶対君主が君臨する運用会社は株主利益を度外視して行動しようとすれば、株主は出資を止めてしまい、株式会社は存続することができません。

<結論>
ということも鑑みワタシはそのまま、三井住友トラストアセットマネジメント社の
  • 世界経済インデックスファンド
  • SMTアジア新興国株式インデックスオープン
の2点はそのまま、積み立てを続けます。

今の価格(信託報酬)が忠実義務に反する不適切なものであるのなら、三井住友トラストアセットマネジメント社も他社に追随するはず。

同社が他社に追随しない場合は、長期投資において、利用している投資信託は、今の価格(信託報酬)でこそ、「サスティナブル(維持可能)なビジネスモデル」として、安心して利用していられる。

と捉えて、ワタシの投資対象を移管する理由はいまのところ全く見当たらない。

とします。

<個人投資家の強い味方!カン・チュンドさんが本稿をリンクしてくれました
インデックスファンドの低コスト競争と、商品の持続性はどっちがより重要なのか?

長期・分散・低コストが有効なわけ

投資から資金流出超。でも積み立ては続ける

<参考:各社のフィデューシャリー・デューティーの例>


2 件のコメント:

  1. 確かに継続は大前提になります、競争に勝ち残るのは3強程度とその他かと想像します。私はニッセイとセゾンに期待

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    返信
    1. 杉中隆さん、こんばんは。
      コメントありがとうございます。
      おっしゃるとおり、安値を続ける体力がない運用会社は淘汰されていきましょうね。
      長期投資ということで、継続してくれればそれで文句無いです。
      ニッセイは生き残れるでしょうね。
      セゾン投信も超安値競争には加わりませんでしょうけど、経営が成り立つレベルで継続しますね。
      あとは慎重な三井住友トラストアセットマネジメントでしょうか。
      またコメントください。
      今後とも弊ブログをよろしくご愛顧ください。

      削除

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